Press "Enter" to skip to content

禁断の果実

奥さんの滋賀の友人から、銀杏が送られてきました。
モノを送ってもらえるのは、いつも嬉しい。
ただ、今回は、嬉しいより、驚きが先だった。

銀杏はもらったのも、送ってもらったのも、初めて。
それが普通なのか判らなかった。
だって、銀杏って神社とかに立ってる木に出来て、秋とかに落ちてるモノよね。

手間や送料をかけて、わざわざ送ってくるのだから、冗談では無いはず。
奥さんは小さい頃、よく食べてたらしい。ワイルド。
夕方、奥さんが銀杏を調理してくれた。

新聞紙にくるんで、レンジで温めたら、食べられると聞いて試してる。
ちゃんと熱が入ってるか、不安みたいで、結局フライパンで炒ってくれたみたい。
手数がかかっているところに、申し訳ないけど、実は、こちらの心の準備が出来てない。

テーブルに持ってきてくれたけど、手が伸びない。
外側はどう見ても硬そう。
手で割れると思えない。

「え、これどうやって割ったら、いいんやろ?」
すごい逃げ腰の質問をする。
奥さんは、台所で噛んで割ってた。

その野性的な姿を見て、食べる覚悟をした。
玄関に、ペンチを取りに行く。
下駄箱の上の棚をあけ、道具箱を探す。

この棚は木製で、そっと閉めないと、カターンと大きな音が、廊下に響く。
文鳥さんが過ごす、平和なこの家に似合わない重い金属のペンチ。
こんなモノを持って、一体何をするつもりなのか。

自分に問いながら、静かに廊下を歩く。
大掛かりになってる事態を、客観的に眺める。
テーブルの上の白い小皿に、涼しく光る銀杏。

やるか。
周囲に、文鳥さんたちが来てないのを確認する。
銀杏を一粒持って、決してグリップの良くない、ペンチの先で挟む。

スベスベと光る銀杏。
どのくらいの硬さなのか。
飛んでいったりしたら、文鳥さんたちが驚いてしまう。

指を挟まないように気をつけて、銀杏をつまんだまま、ペンチにチカラを入れる。
ぐ、ぐぐ、パチっ。
綺麗な楕円形に、あっさりと、亀裂が入る。

結構、簡単に割れるんやね、しかも、弾けたりして慌てる必要も無さそう。
それまでの緊張やストレスが、すーッと消える。

手の大きな私には、扱いづらいサイズの粒。
落とさないように、殻を外して行く。
中身は、しっかりした弾力で、変な匂いもしない。
ここまで来ると警戒感は、もう忘れてる。

温かい実を、口に入れてみる。
柔らかくて、ほんのり、味がする。
小さな実が与えてくれてるかと思うと、微笑ましい優しい味。

美味しいやん。
また金属の重たいペンチを持って、次を割る。
文鳥さんのいる部屋で、こんな物々しい工具を使うのは、まだ緊張する。
けど、銀杏への抵抗は無くなった。
新しい食文化が、身についた。
やったね。

自分ルール:
「食べたことが無いものに、挑戦する」

Be First to Comment

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です