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まぼろしー

お使いで、業務スーパーまで運転します。
晴天のお昼過ぎ、市内へ通じる道は、軽い渋滞になってます。
土埃でうっすらと汚れたマイカーなので、外が白く光って見える。

うちの駐車場は、近くに畑があるから、洗車しても、すぐに汚れる。
畑をやめてくれと願う訳にも行かない。
ミネラルコーティングと前向きに考えるようにします。

この道は、道幅が狭く、両側にクリニックや喫茶店、コンビニ、ドラッグストアなどが並ぶ。
店に用事がある車がいると、すぐに流れが止まってしまう。
そう、バス停もある。
乗り降りしてるバスの横を、追い越すのも簡単じゃない。

急がずノロノロと運転してると、横断歩道を渡る女性が見える。
ほっそりした方。ベージュのレインコートっぽい上着。長い髪に、黒縁のメガネを着用。
少しだけ、長めの歩幅で、スタスタと渡ります。

3mくらい後ろを、別の人が同じ方向に歩いてます。
!!
ほっそりした方で、ベージュのレインコートっぽい上着で、長い髪やし、黒縁のメガネも着用!

何かの仮装にしては地味やな。
後ろの人が、少し前かがみの姿勢だけど、他人には見えない。
知り合いなら、格好が似過ぎ。

眩しい天気で光るフロントガラスの向こうで、ソックリな二人の女性が歩いてる。
蜃気楼でも見ているのか。
ほぼ同じような見た目の二人の正体は何なんだ。

突然の出題に、答えを考えてみる。
よっぽど仲の良い姉妹に、一票!

先を歩いていた女性が、青信号で、次の横断歩道を渡り始める。
後ろの女性は、付いて行かずに、先のコンビニに入って行った。
他人!たまたま、似てただけ。だった。

そんな。謎でも何でも無いやん。
期待が一気にしぼんだ。
クローン研究所から、逃げ出した二人でも、良かったのに。

勝手にザンネンな気持ちになって、業務スーパーに向かいます。
ココは、荒っぽい運転をする人が多い印象です。
当てられないように、入口から遠い、駐車場の一番、端っこに停める。

店に向かって歩いていると、車の助手席で待っているお婆ちゃん。
その先にカートを返却に行くお爺ちゃんがいました。
足元が、とても不安で、ヨロヨロしてはる。

カートを返した後に、車まで戻れるのか心配になる。
それでも、お婆ちゃんを休まして、返す姿は男らしくていいと思う。
お婆ちゃんが怖くて、頼めないお爺ちゃんでも、男らしくていいね。

自分ルール:
「カートは使わないけど、使ったら私が返す」

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