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オーディオブック

娘は都内に住んでいて、たまの週末に帰ってくる。
電車なら、だいたい1時間半で着く距離だけど、できたら車で迎えに行くことにしている。
往復でかなりの時間を使うことになる。
半分は娘と話ができるから、良いとしても、2時間近く、一人で過ごす時間がある。
それで、一人で運転する際には、Audibleを聞くことを習慣にした。

移動時間が勉強になり、罪悪感が減って助かっている。
これは本当にありがたい。
ビジネス書をよく聴くけど、他のジャンルも、気になったら、何でも手を出してる。

特に小説類は、これまで読んで来なかったから、目の前に、だだっ広い作品の海が広がってる。
最新の賞を獲った作品から、名前だけは聞いた事がある名作まで、まさに選び放題。
奥さんが本読みだから、少しは話について行けるようになるかも。

読んでくれる声優さんも上手で、セリフが多い本だと、演劇みたいでホントに楽しい。
ひとりの空間だから、遠慮なくハンドルを叩いて、笑ったりする。
そう言えば、小学生の頃、給食の時間に物語の朗読が放送されてた時期があった。

アニメばかり観てたのに、教室の壁にある四角いスピーカーから出る音声だけで、
話の内容が、目に浮かんできて、夢中になって聴いてた。
国語は苦手な科目だったのに、この朗読の放送だけは、大好きだった。
今でも、話の断片を覚えていて、もう一度聴けたらと思う。

結局、物語を聞く事は、好きだったんだと思う。
40数年ぶりの忘れかけてた自分の好みを思い出して、可能性が広がった事がうれしい。

この日も、小説の「ミシンと金魚」を聞きながら、娘を迎えに行く。
お婆ちゃんのしゃべり、ホント、面白いな。
娘の家まで、あと20分くらい。

奮闘するお婆ちゃんを思い浮かべながら、都内を走る。
大きな交差点の赤信号で、止まる。
いつもなら、停車のタイミングで、他の本に変えたりしていまうけど、この本、面白いから、このまま聴こかな。

車の流れをぼんやり眺めてると、右から進入してきたトラックが、右折して行った。
「あっ」
荷台の段ボールが、遠心力に負けて、3個落ちて、そのまま信号待ちの歩行者の前に転がる。

中身のミネラルウォーターのペットボトルが、その場に散らばってしまった。
トラックは、気付いてない様子で、そのまま走っていってる。
信号待ちの人たちが、困惑しながらも、手分けしてペットボトルを片付け始める。

こういう場面を見ると、勉強はイヤだったけど、学校教育があって良かったと思う。
車の流れもあるので、片付けに参加せずに、トラックを追いかける。
Audibleは、一旦止めて、運転に集中する。

お酒屋さんのトラックみたい。
荷乗せの左側のロックが外れて、ブラブラしてる。
早く教えてあげないと、また荷物が落ちそう。

2つ先の信号で、トラックが捕まった。私も後ろに停車。
エンジンをかけたまま、車から出て、トラックの運転席の真横まで走りました。
窓を叩こうとする前に、運転手さんが、私に気づきます。

驚きながらも、警戒感や嫌悪の表情はなく、「どうかしましたか?」と素直な雰囲気。
さっきの交差点で後ろの荷台から、段ボールが数箱落ちましたよ。と、伝える。
状況を把握し、急いで荷台のロックをしながら、お礼を言われました。
忙しい運転手さんには、気の毒ですが、ドラマチックなアクシデントに遭遇できて、ドキドキしました。
荷物が落ちたことを知らせただけで、意味があったか怪しいですが、役に立った錯覚もあって、良い経験でした。

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